ばのブログ

フルゆとり世代の俺

斜め上を行くちょっとの距離はその時々

飛来した物体が頭上遥かを過ぎ去り0コンマ何秒か後に落ちた先は遠いはずの場所から聞こえた音とは考えられないほど鮮明にその音を轟かせた。

微かに目の端を通過したその導線を頭の中でなぞりながら着地点を探り走る私の喉元から今にも溢れ出てしまいそうな好奇心を向かい風で押し込んだ。
頭で理解した距離と体に振動した感覚の誤差は好奇心が埋めてくれる。
大丈夫。私はまだ走れる。

休憩も無しに動き続けた足が弱音を吐きそうになったのを見かねたのか白い狼煙が見えてきた。
「ここにいるから」と優しさではなく少し先から引っ張りあげるその力強い振る舞いに感化され棒になりかけた私の足は軟化した。

広範囲に及ぶ破壊の中心、その一端を最初に感知した眼球の情報が脳に到達するよりも早く私は飛び込んだ。気温の上昇か体温の上昇かの判別もつかない状態が危険かどうかもわからない。
向かい風が逆風になりそれが引力に変わる。
変わらず居場所を教える煙の高さが認知できる距離まで近づいたときには役割を終えたことを理解したかのように量を減らしていた。

「やっと来たわね」
少し怒気が含まれた言葉にたじろいだものの、突き合わせた顔は心なしか微笑んで見える。

君に問いたいこと話したいことはたくさんあるがまず言おう。

「そうくるとは思わなかった」