ばのブログ

フルゆとり世代の俺

迷いと決断と私

行きに通った道を戻るだけ。
それだけでいいはずなのに日が傾き始めた帰り道はくたびれたアサガオと共にその形相を変えている。
目印にしたはずの店や看板が全方位から同じように見えるとでも思っていたのか。
浅はかな考えで迷わず進んだ自分に軽笑した。

見える過去からの経験と見えない未来への想像で足が止まってしまう。悪気のない道に悪態をつきたくなる自分の身勝手な八つ当たりを寸前で止め、確かに見たはずの景色を懸命に思い浮かべながら岐路に立つ。
自分の中の迷いはなかなか動こうとはしてくれない。

真っ直ぐきたような、いや左だろ、右の可能性もあるのでは。一人で来た道に複数人の私が意見する。
複数の私が迷いに集約されその大きさを増していく中で、一人の背中を見た。
顔が見えないそいつは何も言わずに進んでいく、迷いが近づき声をかけても聞く耳を持たない。

私は道を知らないはずなのに
そいつは歩みを止めない。
また一人の迷いが駆け寄りこう言った
「恐れはないのか」
尚も足を止めずにそいつは言った
「恐くないわけがない」
瞬間、前に回り込んだ迷いが消えた。

複数人いたはずの迷いも一人また一人と消え、
とうとうそいつと私、そして迷いの三人になったところでようやくそいつは足を止めた。
振り返るそいつは到底恐れがある顔には見えない。

知らない道を行くことが恐いか


恐いに決まっているじゃないか
迷いは言う
私も頷く


それでいい
知らないことは恐い
ただ真に恐れるべきは己で判断せず意味のない周りの意見や迷いに左右され自身で決断を下さないことだ
他人は責任を取ってはくれない
決めるのはお前で私だ

大いに迷い悩め
ただ、恐怖を増幅させ迷いを増やすな
大丈夫だ、どんな選択でもそう死ぬことはない
お前も私もバカで将来など考えられない
それを私は知っている
今のお前に身を任せ今を生きよう


迷いが笑みをこぼし私に重なる。
足から重さが消えそいつの後につく。

さあ決断の時だ
私にもう迷いはなかった。

力強く進む私を見たそいつは微かにしかしハッキリと聞こえる声でそれでいいと呟き私に重なった。


帰り道
右か左か前か後ろか
迷いが心配し決断が道を決める。
決めた道が正解かはわからない、
それでも歩みを止めることはない。

迷いと決断と私
言い合いは絶えないけれど
私たちは私たちを信じ
今を全力で生きるから。









#「迷い」と「決断」

りっすん×はてなブログ特別お題キャンペーン〜りっすんブログコンテスト2019「迷い」と「決断」〜
Sponsored by イーアイデム