ばのブログ

フルゆとり世代の俺

死神2

周囲を見回し様子を伺う。まず状況を整理しなければならない。私が立っている位置は教室の後ろにあたる位置で、正面には黒板と教壇、右を向けば廊下、左を向けば窓があった。廊下に近づくことに抵抗があったため窓の方へ歩を進めた。窓ガラスから見える景色から察するにここは二階に位置しているようだ。静寂を破らぬようできるだけ丁寧に一番近くの椅子を引いた。


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電車に揺られ会社に向かう。片道二時間と少しの時間は、前日の寝不足の補填とイヤホンから垂れ流される音楽に溶けていく。往復四時間の通勤を無駄にしないよう講じた策も、今では何一つ成就することがなかった。このままでいいと思っているわけではない、ただ何をすればいいかがわからない。迷いもなく進むことが出来る人達はきっといないのだろうが、私の頭が創造したその後ろ姿は進むことを躊躇わない。会ったことのない憧れは、会ったことがないからこそ憧れで、存在している証明にはならないのだ。

手慣れた様子で乗り換えを行いながら辺りを見回せば、顔に影を落とす人間が跋扈している。一日の始まりが絶望だというように。それが100年続くとあればこの世は地獄なのかもしれない。

(もし地獄ならば死んでしまうのも悪くない)

そう想う私の顔もまた影を落としていることは言うまでもなく、かといって大きな変革をもたらそうとも思わなかった。