蛇行する川のほとり
一見するとバリアを張っているようなその外見は見るものを惹きつける。
あの人は私たちとは世界が違う。
私たちに関わることはないし、関わろうとも思わない。
でもどこかで憧れている自分を奥の奥、
見えないところに仕舞って自分を騙す。
類は友を呼ぶのだろうか。
あの人の近くには決まってあの人がいる。
階段で声をかけられた時に吹いた季節外れの風は仕舞っていたものに手をかけていたんだ。
もう夏が来る。
日常に突如吹き付けたその風は在りし日の自分を蘇らせた。
散らばった想いと失くしていた鍵が集まる夏休みの非日常は偶然か必然か。
外見から読み取れる情報が如何に意味を成さないか。
少年少女が成長する時間が美しく映りながらもブレーキを踏みつけ速度を落としたくなる衝動を抑え見守ることしかできない歯がゆさ。
決まって訪れた夏休み
長く空いた後の学校で大人びた同級生はどこか遠くへ行ってしまったようだ。
たったひと夏の出来事
聞くこともない聞かされることもない
変わった事実と見えるものしか頼れないから。
「仲良しじゃないわ、離れられないのよ。」
本当の強さは目には見えない。