ばのブログ

フルゆとり世代の俺

タバコマジうぜぇ8

嫌な予感がしていた。
ここにきて単位の心配はしていなかったが、終わりのカウントダウンへ意識を向けていた俺には不意討ち以外のなにものでもなかった。

「今さら何かあるんですか。」
先生が口を開く。
「提出してもらった小論文は他の世界史でも提出してもらっていて、校内選考をしていたんだよ。」
何を言い出したかと思えばわけのわからないことを。
だからどうしたと問う。

「ただ君ともう一人(俺の友人)は成績をつけられないくらいに今までがひどかったから、単位をあげるため内容に目は通さず校内選考を通過させて10人に紛れ込ませたんだ。」
なるほど、結果的に先生は味方だったと言いたいのか。今さら俺に恩を売っても何にもならないのに。
とりあえず礼は言っておくが、それだけで呼び出されたことに疑問が浮かんだ。

「ありがとうございます。だから無理くりにでも提出させたわけですね。でもそれだけの為に呼び出したんですか。」
先生は続けた。
「それでなんだけど、校内選考を通過した10人の小論文は県の北方領土返還運動(正式名称は忘れた)をしている団体に提出したんだ。」
この人は何が言いたいんだ。
全く答えの見えないやり取りに痺れを切らした俺はストレートに聞いた。

「だからなんで俺を呼び出したのか理由を教えてください。」
この時のことを俺は忘れないだろう。

「結論を言うと、君の小論文が選考を通過して県の北方領土視察団に任命されたんだよ。」


つづく