帰り道の電車もバスも歩いた道も
最後だと分かると歩みを緩める
何気なく耳にする音楽は知らぬ間に順序を覚えていて題名はわからない
横断歩道であいさつを交わした人はしばらく見ていない
あの時こうすればと溢れ出るたらればを向ける先がなくなったことに気づいた帰路でふと立ち寄った水面に映る顔はこんなはずじゃなかったと語りかける
家に帰る喜びを知ったあの日、うまくできると意気込んだ
終わりがあることを知っていたはずだった
日常を非日常に変える
移った火に薪を与えて大きくなることに喜び耽る
振り返ってはいけない
もう火を添える薪すらないから
今度は好きになれるかな