ばのブログ

フルゆとり世代の俺

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並ぶはずがなかった
夢を見たんだ、きっと夢だったんだ
君と並ぶことなんてないと思っていたから
タクシーで相席をした君のカバンが倒れる
咄嗟に支えて合った目を逸らさず君は少し笑って
巻きついたベルトが緩んだ
フラットな姿勢でもたれた君の黒髪
濡れ羽色にかかったトンネル
助手席のモニターが眩しい
なびく街灯、視線だけをずらす
並ぶ灯は今は赤
変わる数瞬、手を握った

満たされてはいなかった
そんな回想はいらない
でも今日を思い返すことはもう決まったから
初めて未来を予言して
初めてそれが現実になる
そんなことはどうでもいい
頭が冴えてるんだ
発した声が上ずることもわかってる
読めるこの先が怖い
トンネルを抜け尚も回るタイヤ
絡んだ指、かかる吐息
並ぶ灯は今は青
緩んだベルトが心細い

終わりに向けて熱を持つ
この均衡を崩さなきゃ
傾いていた、やっと釣り合ったのに
時計を覆う温もり、針は止まらない
短針を煽る長針
肩を揺らし、頭をもたげる
熱をそのまま凍らせたい
いつだってそう
近付いて離れて、離れて近付いて
冷える半身に開く扉
乾いた髪と眠たげな君
震えを隠して指はたゆたう

夢を見たんだ、きっと夢だったんだ
並ぶ灯は今も青
ずっと青