ばのブログ

フルゆとり世代の俺

煙草

いつでも会えるって言葉がさよならに聞こえた
砂利に吸われた宝石を大きく掬う
器に覆われた欠片に吹きかけた息が白く舞って
霞んだ向こう側に夢を見る

攫われたことは知らない
挙げた手を透かして眩しさに目を閉じた
同時に握った拳が心なしか軽くて
また一つ失ったことに気づく

伸びた髪が揺れて口を塞いだ
不揃いな分け目なら無くていい
そう思って一本を噛み締める
染み付いた匂いはあの人のもの

飛び出す時、咄嗟に手に取ったその箱
折って捨てようと思ったのに
取り出して火をつけた
あの人の香り、なのに嫌いな香り
大きくむせて踏み潰す
温かさと横顔が好きだった

お題「思い出の一枚」